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今月の特集 99.APR. 「特撮俳優本!」 最近、往年の特撮作品に出演した俳優の 著した本が続けざまに出版されています。 そこで、今月の特集では、 これらの特撮俳優本にスポットを当て、 各々インプレッションなど書いてみました。 なおこれらのインプレッションはあくまで、 MAXの主観によるものです。 |
| ウルトラマン青春記 フジ隊員の929日 |
わたしの恋人ウルトラセブン セブン セブン セブン |
| キカイダー讃歌 |
ダン モロボシダンの名をかりて |
| 赤影参上! |
一文字隼人 仮面ライダー2号伝説 |
| ニッポンゴジラ黄金伝説 |
ハヤタとして、父として |
| ヒーロー神髄 |
仮面ライダー 本郷猛の真実 |
多分、この本が最初に出た特撮俳優本だと思う。いきなり出てきて、ちょっとびっくりしたものだが。当時は確か「ウルトラマンゼアス」が公開されていて、いわゆる平成ウルトラシリーズが誕生する布石が徐々に打たれていた頃である。
そんなときにいきなり出たのが、由利ちゃんこと桜井浩子さんのこの本であった。桜井浩子さんは円谷プロに所属され、ゼアスでも元気な姿を見せてくれていたわけで、そのフジ隊員の秘話っていうのは非常に面白く読むことができた。
やはり、当時の円谷プロの現場というのは特殊な状況であったことがよくわかる。ウルトラQでの共演者、佐原健二氏、西条氏、さらにウルトラマンでの共演者、黒部進氏、石井伊吉氏、二瓶正也氏、そして小林昭二氏らの思い出…。そして、金城哲夫氏、満田かずほ氏、円谷一氏など、若く燃えていたスタッフのこと。これらが、桜井浩子氏ならではの優しい視点で生き生きと描かれているのだ。
また、特に章を設けて触れられているのが、実相寺昭雄監督である。なんといっても“魚眼の実相寺”、35話「怪獣墓場」での魚眼レンズアップのシーンの撮影について書かれていある。当時まだまだうら若き花も恥じらう乙女であった桜井浩子氏、この鼻の穴が広がったアップで本当に傷ついたらしい…。いあいや、魚眼レンズごしだってフジ隊員の美しさは全く損なわれておりませんぞ。何かととその言動自体が、実相寺監督の場合は変だったようで。後に「怪奇大作戦」にゲスト出演したときのエピソードも書かれているが、こちらでは実相寺監督は非常に好意的な印象。後になって実相寺演出の良さがわかってきたというところだろうか。
巻末の座談会がまた泣かせる。この時点ではこういったメンバーが集まるということは滅多に無いことだったようだ。満田氏を司会に、毒蝮氏、黒部氏、二瓶氏、桜井氏、そして小林氏。もう2度と集まることのできないメンバーである。彼らとて、この「ウルトラマン」という番組が、終了後何十年も語り継がれるとは思いも寄らなかっただろう。だが、スタッフ・キャストともみな若かったゆえの懸命さが、あのように伝説的な作品を残すことになったのであろう。
思うに、特撮本のブームは、ここから始まったのかなぁという気がする。まさに満を持しての登場という印象。我々(オールド)特撮ファンにとっての永遠のアイドル、アンヌ隊員ことひし美ゆり子氏の登場である。
この本の場合は、ひし美氏がウルトラセブン(ほぼ…1話のみ抜けている)全話についてのコメントを寄せているのが特徴である。その時々の撮影時における裏話など、ひし美氏の生の体験がつづられている。とくに、ひし美氏の場合、お酒が大好きだったようで、それに絡む失敗もすくなくなかったようだ。こういった裏話を読んでから、「セブン」を見直してみるとまた、新たな発見があるかもしれない。興味深いのは、感動の最終回についてのコメント。この最終回については、ダンとアンヌ、ふたりの芝居を完璧にするために数ヶ月前前から満田監督の下で別メニューによる特訓が行われていたそうで。ただ、若いふたりゆえ、“なんで自分達ばっかり練習させられるんだ?”という気持ちのほうが強かったそうだ。それで、あの最終回もそんな気持ちを引っ張っての演技。別に感動も何も無かったという裏話である。そんな気持ちでもあのような名シーンが生まれたというのは、演じたふたりを誉めるべきか、それとも満田監督の演出の腕だったのか?
また、「セブン」以降のひし美氏の活動についても、多くが語られている。周知の通りひし美氏は、セブン以降はお色気路線を突っ走ることになる。「37階の男」や「プレイガール」など、これまた忘れられないテレビ番組である。
またこの本について特筆すべきは、多くの未公開スナップが収められているということ。若く美しい(もちろん、今でも十分にお美しい方であるが)、はちきれんばかりのバイタリティに溢れたひし美氏を存分に堪能できるというわけだ。
この「セブン
セブン セブン」で、特撮俳優本のパターンが出来たと思う。
昭和40年代特撮の顔と言えば、やはり伴大介氏と池田駿介氏。このふたりの存在なくして、特撮ヒーローは語れないだろう。そして、このふたりといえば、なんと言ってもキカイダーである。
しかしながら、このふたりがインタビューなどに登場する機会は、これまで非常に少なかったかと思う。この本ではキカイダー生誕25周年記念ということで、キカイダーブラザーズが当時を振り返り、座談会的に語っている内容をまとめている。特に、「人造人間キカイダー」〜「キカイダー01」全話通して見ながらのコメントは、当時の撮影の苦労なども忍ばれ、なかなか興味深く読める。また、吉川進、飯塚昭三、うえだ峻、長坂秀佳といった、キカイダーに縁の深い方々とのトークセッションも面白いし、特に原作者の石ノ森章太郎氏とのトークについては、今となっては感慨深いものである。
キカイダーはすでに当時人気絶頂であった仮面ライダーと対をなすような存在である。スタッフもキャストも、ライダーに追いつけ、追い越せという気負いがあったからこそ、今まで語り継がれる作品となったのではないだろうか。
これが出版された当時は、伴大介氏と池田駿介のふたりによるサイン会なども、よく行われていたようだ。MAXも一度、さるイベントで偶然このおふたりのサイン会の模様を見たのだが、25年前の印象とほとんど変わることのない若々しさであったのは驚き。その後に東映から発売されたLD、「キカイダー・メモリアル」でも、その若さは十分に確認出来るが。
内容的には、ほとんどトークの聞き書きという本なので、ちょっと物足りない部分もあるけれど、キカイダーという作品にかかわった人たちの生の声を読むことができる、貴重な本である。
アンヌに続いて、ダンも来たという感じ。ウルトラセブンの主役、ダン役の森次晃嗣氏の著作である。やはり、ウルトラセブンの人気の高さを物語るものじゃないのかな、こういう本が同じ作品から2冊も出てくるということは。とはいえ、先にひし美氏の著作があるわけで、2番煎じ的な印象は拭えないところであった。しかも当時は平成ウルトラセブンの第一作、「失われた記憶」の撮影も進んでおり、プロモーションタイアップ的な印象もあり。
内容的には、森次氏の俳優業の軌跡とセブンの思い出。特にウルトラセブンの裏話的な部分は、満田かずほ監督との対談によって、ページの多くを割いている。前出「セブン
セブン
セブン」にもあったが、満田監督と言えば、やはり最終回「史上最大の侵略」についての話をはじめ、さまざまなエピソードについて語られている。結構今になって見てみるとおかしな部分、設定なども少なくない作品なのだが、そのあたりもちゃんと突っ込んでいてくれるのがウレシイ。まぁ、当時はそれほどきっちりとした設定が作られてなかったのだな。ビデオソフトで発売されるなんて感覚が無い頃である。テレビ番組は基本的にはオンエアされればオシマイだったのだから。特にセブン変身シーンの“ブタ鼻”は、森次氏本人も不服だったようで、これもなんかウレシイ話である。
スタッフでは、故人となってしまった円谷一氏、金城哲夫氏についても語られており、特にこのふたりとは親しくされていたようで、残念であると書かれている。ウルトラ警備隊のメンバーについても、それぞれ当時の思い出を書かれているが、中山昭二氏も今では故人であり、残念極まりない。 未公開フォトも多く納められており、当時の撮影現場の雰囲気をうかがい知る貴重な資料となっている。
「赤影参上!」。このセリフを何度真似した事だろうか。あのオープニング、颯爽とこのセリフとともに登場する赤影。そして、軽快なテーマソングが始まる。その格好良さに、当時は夢中になったものである。
その赤影を演じた坂口祐三郎氏の著書である。やはり、その文面から伝わってくるのは、当時のスタッフたちの熱気である。特に赤影は東映京都制作ということで、東京に対しての競争心も少なからずあったのだなぁと。それで、とにかく体を張っての現場で楽しい作品を創り出していこうという気概が育っていたわけだ。一見破天荒にも感じられるそのストーリーではあるが、エンタテイメントを追求した結果生まれてきたものであり、今見てもその面白さはまったく減じられる事はない。
ページの多くは、赤影全話のストーリー紹介に費やされている。赤影という作品は、近年ではなかなか見ることもできないだけに、このストーリーガイドはありがたい。そうそう、こんな話だったよなぁと思い出しながら読めるのだ。また、貴重な写真も200枚以上収録されており、赤影という作品を知るうえでも資料的な価値は大きいと思う。また、おまけで巻末にとじ込まれている復刻版カラーブロマイドも、懐かしく嬉しい。
懐かしい青影の金子吉延氏のインタビュー、そして白影の牧冬吉氏のインタビューも掲載されている。特に牧冬吉氏は、この本が出版されるほんのひと月前に急逝されており、これが最後のインタビューとなった。
坂口氏は、赤影の後にライターをやったり、日光江戸村にいたりと、さまざま。ただ、俳優としてのドメインは失わずに活動されているようだ。現在は、「新赤影」の製作に向けて動いているそうで、ぜひ実現してもらいたいものだ。
仮面ライダーの人気を不動のものにしたのは、やはり2号ライダーの“変身ポーズ”であろう。この、“変身”は、月並みな表現であるがまさに社会現象になり、当時の子供たちの心に永遠に刻み込まれたわけである。その、“ライダー人気”の功労者である佐々木剛氏の、波乱に富んだ半生を綴った自伝が本書である。
仮面ライダー主役交代にまつわる秘話から、一文字隼人としての人気絶頂期の事など、これまた当時のバックグラウンドを垣間見る事ができ、非常に興味深い。あのキザな一文字は、やはり本郷との差をつけるためのキャラクターであったとか、疲労のあまり脱毛症になってしまいいつも帽子を被っていたなどというエピソードを読むと、あぁ、なるほどね!と思わずうなづかされてしまう。
一方、その後の佐々木氏の転落の道のりについても、赤裸々に書かれている。不幸な事故によってやけどをおってしまった氏、まさに生と死の境をさまよって、役者としての道を絶たれてしまった。そして酒に溺れ、仕事も失い…。ちり紙交換をやったり、挙げ句の果ては、ホームレス同然の生活まで体験したという。だが、その後手術によって怪我も回復し、役者としてリスタートしていく。そうして、佐々木剛は復帰したのである。
突然舞い込んだライダーの主役話、そして人気絶頂を迎え、そして事故によって絶望、どん底の日々を送りながらも、役者に対する執念を捨てずに、そこから這い上がってきた。まさに壮絶な半生である。この本の一人称は終始“おれ”で書かれており、それがまた、氏の半生を語る語り口にしっくりくるのだ。
昨今は、「仮面天使ロゼッタ」にゲスト出演したり、ゲームソフトのCFで自ら一文字隼人のパロディをやったりしているが、それは役者として改めて演技の面白さを知ったということなのかもしれない。読む人に感動を与える、非常に素晴らしい一冊である。
銀幕の特撮も忘れがたい。特撮といえば東宝。そして東宝といえば、宝田明である。思うに宝田明氏は、「ゴジラ」への出演が決まった時点で、もうずっと特撮俳優としての道が約束されてしまったのかもしれない。その宝田明氏の著作が本書である。何といっても、日本特撮のターニングポイントとなった「ゴジラ」。現場に実際にいた人であるゆえに、言葉には重みやリアリティがある。その後量産される怪獣映画というジャンルの誕生に立ち会っているのだから。
いまや伝説とも言える(だから「ニッポンゴジラ黄金伝説なのかな)「ゴジラ」の生き証人として、宝田明氏の貴重な体験が語られる。それは、共演者の故河内桃子氏、故平田昭彦氏、故志村喬氏の思い出や、スタッフである故本多猪四郎監督、故円谷英二特技監督、故田中友幸プロデューサーの思い出などなど…。多くの関係者があまりにも早い死を迎える中、宝田氏だからこそ語れる事柄があるわけで。
なんといっても、「ゴジラ」は名作である。わけもわからぬままに、“G作品”に参加させられた宝田氏のとまどい。そして、いもしない巨大放射能怪獣を相手に演技をする難しさ。初めて試写を見た時に流した涙…。どのエピソードも面白く読むことができる。そして、そのような裏話に彩られた素晴らしい作品、それが「ゴジラ」なのである。
ハリウッドで「Godzilla」という似て非なる映画が作られても、やはりオリジナルな「ゴジラ」の本質を越えることはできないのだ。今年年末には、ついに復活を遂げる「ゴジラ」。この本で語られる伝説の人達の意思を継いで、新たな伝説をスタートさせて欲しい。
元祖ウルトラマンのハヤタ隊員役であり、しかもウルトラマンティガのレナ隊員役、吉本多香美さんの父親でもある黒部進氏。まぁ、そういった事をここに書いても釈迦に説法なんだけれど、そういった意味で二重にオイシイのが、この本である。
本文はいくつかのパートに分かれている。まずは黒部氏がハヤタ隊員役に至るまでの駆け出し俳優時代のエピソード。ども役者もそれなりに苦労しているのだなぁ。そして、ウルトラマン時代。苦労話などはもうおなじみのものも少なくはない。特に氏が好きだというエピソードについては、詳しく書かれている。1、2話をはじめ、実相寺監督の回や最終回などなど。それから、ウルトラマンを作った人たち。故円谷英二氏はもちろんのこと、脚本、演出スタッフの面々。それから共演者達。やはりムラマツキャップを演じた故小林昭二氏については、特別な想いを持たれているようだ。
そして、この本の多くを占めるのが、アフリカのことである。なぜ、ウルトラマンがアフリカ?という疑問もあるのだけれど、黒部氏は“アフリカの水”を飲んだ人なのだ。「アフリカの水を飲んだものは再びアフリカに戻る」という言葉を聞いたことがあるが、若くしてアフリカはケニヤに行った氏は、その後も数回、家族とともにケニヤを訪れている。それが、娘たちに対する教育であったと言えるのだろう。吉本多香美さんも立派に女優として活動しているわけで。実は、ワタシも10年近く前に、仕事でケニヤに数週間滞在したことがある。実際にあの広いサバンナを目にしているだけに、黒部氏のケニヤでの体験はよくわかるし、アフリカの素晴らしさもよくわかる。ワタシも“アフリカの水を飲んだ者”なのである。仕事でケニヤに行った後、その関係のパーティーに出席した際に、黒部・吉本親子に見かけた事がある。もちろん、まだまだティガなんて話は無くて、シンデレラエクスプレスのCFに出演した直後くらいか。おとなしい、静かなお嬢さんであった。黒部氏もまた、品のいい紳士という風情で、ワタシの心の中のハヤタが、そのまま素敵に老けたという印象を持ったものである。
巻末の黒部進氏・吉本多香美さんの親子対談は必読。素敵な親子関係を築いているのがよくわかる内容となっている。
ヒーロー中のヒーローと呼んでもいいだろう、宮内洋氏。常にヒーローであり続け、そして今もヒーローである氏の独特な世界観を、この本では楽しむ事ができる。何といっても、ヒーロー番組は教育番組であるという、宮内氏の持論が全体のトーンを醸し出している。
宮内洋氏が演じたヒーローについて、それぞれ大きくページを割いて、ご本人がその思い出や裏話などを語っている。やはり、どのキャラクターもそれぞれに思い入れがあるようで、よく覚えているようだ。キーハンターからアオレンジャーはもちろんの事、最近のオーレンジャーのことまでちゃんと触れているのである。
ただ、残念というか、考え様によってはうれしいともいえるのだが、各ページに写真が掲載されていて、本文はページの下3分の1程度なのだ。これが全ページとも、同じなのである。写真については、どれもいわゆる秘蔵写真。多分、宮内氏ご本人所有のもので、これまでに発表されてないものがほとんどだろう。そういう意味では、とても価値のある本と言えよう。ただ、文章がすくない。ちょっと物足りないのである。そういう誌面構成のためか、語り口もやや物足りなさを感じてしまう。なんとも残念な部分である。
ただし、ビジュアル的には巻頭と巻末にカラーグラビアも掲載されており、こちらでも氏の当時の衣装であるとか、貴重な写真を見る事ができる。
現在でもまだまだ現役ヒーローであり続ける宮内洋氏の魅力は十分に伝わってくる一冊なのである。
昨年、大ブレイクしてしまったせがた三四郎こと藤岡弘氏。昨今の若者にとっては本郷猛よりも、断然せがた三四郎なのだろうが、やはり我々にとっては、本郷猛は永遠なのである。
その、本郷猛の真実として、「仮面ライダー」時代のエピソードを中心に藤岡弘氏の人生観みたいなものが語られているのが、この本である。特に「仮面ライダー」の撮影が開始されたばかりの時、オートバイ事故で大怪我を負ってしまったときの様子。苦渋の思いで番組を休み、一時友人である佐々木剛氏に主役を譲った話。そして、何といっても、本当の主役、本郷猛の復帰をスタッフみんながずっと待っていたという事実。桜島の本郷猛復帰の際には、まだ怪我が治りきってなくて、包帯からは血がにじんでいたという。そんな状況での復帰後最初のカットは、やはりオートバイでの激走シーンだった。しかし、平山プロデューサーを初めとしたスタッフの熱い想いが、藤岡氏を奮い立たせ、ひいてはあの化け物番組を生み出す原動力となっていたのだろう。やはりこの本も、そういった彼らの当時の熱気を感じさせてくれる内容となっている。
藤岡弘氏の武道に対する想いは、ページの端々から伝わってくる。氏ならではの、強い心を持つべしという哲学であろうか。その哲学で様々な困難に立ち向かったという俳優としての軌跡は、なかなかのもの。まだまだ、現役として鍛練されているようだ。
今の時代、悲惨な事件が多く、人の心もすさみがちである。そんな時こそ、子供たちの心に勇気を与えるために、ライダーの復活を願う。藤岡氏のその熱い思いが伝わる著作である。