もうひとりのタイムレンジャーと言ってもいい、タックがメインのエピソード。じつはリュウヤ隊長に命令チップ(なぜかNEC製。30世紀でも、ああいう前時代的なチップをNECは生産してるのだろうか(笑))を埋め込まれていたタック。データをコントロールされていたことで、ナビゲータとしての自信を無くすとは…。なんとも人間的なロボットである。しかし、シオンたちとの友情を胸に、彼はリュウヤ隊長の命令を破るのである。自分の命を犠牲にしてまで。って。命というのもなんか変だが…。ロボットで。
実は熱い想いを秘めたロボットだったのね、タックは。破壊されたと思わせて、実は復活というハッピーエンドパターンにちょっとほっとさせられたのでした。
黒の金、アメイジングフォームでもダグバにはかなわなかったクウガ。なんと、これが説明として、オープニングで紹介されてしまうとは…。結構大事且つ見せ場だったはずなのだが、また贅沢な…。今回はそれよりも、ン・ダグバ・ゼバとの最後の戦いに赴かんとする雄介の決意を静かに描く好エピソードとなっている。
淡々と描かれる雄介の行動。恩師に会い、榎田に会い、椿医師に会い、その決意を話す。今度こそダグバを倒し、そして自分は冒険に旅立つ。だから、もう会えないと。もちろん、そこには最強の敵と戦うという「死」への覚悟が見え隠れする。それを気付く者、気付かぬ者。
ダグバとの闘いは、“凄まじき戦士”にならなければ太刀打ちできない。その結論に達した雄介は、生還をも諦めたのだろうか。そこまでを覚悟した戦いということか。それがわかるだけに、訪問先で見せる彼の明るい笑顔が胸を打つのである。
雄介が来ずとも、彼を信じその勝利を信じる者もいる。桜子は、雄介が“凄まじき戦士”として闘うという結論を出したことを確信し、みのりは、兄によって0号がいなくなることを信じている。
そして、一条は…。一条は雄介の気持ちを察し、B-1号の目撃現場へ雄介に連絡せずに向かうのだった。一条としては、これが彼に対する最大の思いやりなのだろう。愛する人たちとの、ひょっとすると最後になるかもしれない別れの挨拶をちゃんとさせてやりたいという。“不器用”だが、その気持ちは人一倍強いということか。
そして、雄介はポレポレへと向かう。ここにも別れを告げなければならない人がいるのだ…。
ドン・ドルネロ、ついに死す。ギエンの暴走を止めるため、リラを置いてひとりギエンの下に赴くドルネロ。かつて、命を救ってくれた純朴な少年。その変わり果てた姿が目前のギエンである。2001年の大消滅を食い止めるためには、そのギエンを殺さなければならない。数々の非道なことをやってきたドルネロであるが、そこには情けもあるのだった。ギエンを前に、引金を引くことが出来ないドルネロ…。そして、ギエンはそのドルネロを撃つのだった。
ドルネロとユウリの因縁も良いのだが、ワタシとしてはギエンを撃つことが出来なかったドルネロに強く感情移入してしまったね。ドルネロにとっては、ギエンが唯一のアキレス腱であったというわけで…。憎めない悪党であった。もちろん、犯罪者としては極刑に値するような奴なのだろうけど。
「お金抜きでも少しは好きだったよ」というリラのセリフがなんとも効いている。
そして、雄介はポレポレへと向かう。ここにも別れを告げなければならない人がいるのだ。おやっさんと奈々に。自分がクウガであることを告げて去る。次に向かう先は、妹みのりの元。保育園にいる子供達とも別れを告げる。みのりはもちろん、この別れが永久のものになるかもしれないことを感じている。が、それを送り出す彼女の強さよ。それは、桜子も同様だ。凄まじき戦士を雄介が選択したこともわかっている彼女は、その悲しみの表情を傘で隠し。そして、本来言いたいことを口には出せぬまま。慌しい別れのひと時は、すぐに終わってしまう。
バラのタトゥーの女と一条。幾たびかの対峙もこれが最後である。一条はついに、バルバに向けて神経断裂弾を撃ちこむ。何発も、容赦無く。さしものバルバもこれには耐えられずに、倒される…。倒されたようである、多分。一体彼女は、グロンギの中ではどのような存在であったのか?そして、怪人体はいかなるものであったのか。それらの謎は明かされることなく、彼女は水の中に沈んでいった…。
そして…雄介の最後の別離は一条。そう、「仮面ライダークウガ」という番組は、雄介と一条の物語であった。ふたりの絆に深い愛を感じるのは、ワタシだけではないだろう。雄介を慮り、一連の事件に巻き込んだことを謝罪する一条。むしろ、一条と出会えたことを感謝する雄介。雄介は、凄まじき戦士となった自分の介錯を一条に頼む。一条なら、多分撃てるはずだ。雄介に対する思いが深ければ…。
ダグバはそこに待っていた。究極の戦士、クウガがやってくるのを。彼らは殴りあう。渾身の力をこめて。ダグバは、人を傷つけるため、そして、クウガは人を守るため。双方ともその力を使い果たし、人間体に戻ってしまう。それでも、殴り合いをやめないふたり。ダグバは笑っている。人を傷つけるのが楽しくてしょうがないのだ。雄介は泣いている。人々を救うため。みんなの笑顔を守るために戦うものの涙である。
かつて、これほどリアルな最後の戦いがあっただろうか。飛び散る血で、雪原は赤く染まっている。戦うことの意味を改めて考えさせられるような、胸の痛くなるそんな戦いである。
力尽きて倒れるふたり。立ち上がるのはどちらなのか。
未来への帰還。つまり、バック・トゥ・ザ・フューチャー。ついに、竜也を残してユウリたちは未来へと帰還させられてしまう。竜也の手によって。竜也はユウリとの別路の悲しみよりも、彼らの30世紀の世界の安泰を願って、彼らを送り出したというわけである。独りぼっちになってしまった竜也なのだ。しかし、そんな状況でも、狂えるギエンの破壊活動、そして大消滅とひとり戦わんとするわけで。なかなかのハードな展開となってきたタイムレンジャーである。
そして、直人もまたやっと手に入れた権力という最大の心のよりどころをなくし、そしてVレックスとタイムタイムファイヤーという力さえも奪われそうになっていた。そんな直人をゼニットの凶弾が襲う。うー、これは普通は死んでるだろう…。もちろんここで助けてくれるのは直人なんだけど。というわけで、このふたり、どうやって闘っていくのか。クライマックス章に突入だな。
今回は大消滅シーンの特撮が、なかなかの見ものであった。
ダグバが倒されて3ヶ月。未確認生物の事件に関わった人たちのその後が、一条刑事が狂言回しとなって紹介されていく。一様に彼らの表情は清々しく、その空を見やる視線の先には青空が広がる。雄介が好きだった青空。その青空に雄介への思いを寄せるのだった。
かつて、特撮ヒーロー番組でこんな最終回があっただろうか。前回の、あの終わり方。ダグバとクウガの戦いはあんなにもあっさりと終わってしまった。いや、まさか最強のグロンギとの戦いが、こんなにあっさり終わるわけがない。この続きは最終回でさらにたっぷりと描かれるのだろうと思っていたのだが。その予想は完璧に裏切られた。0号が死んだことは、一条の読む資料に記載されているだけ。グロンギとの闘いは全て、前回で描きつくされたのだ。まさか、こんな最終回が用意されていたとは…。
力と力のぶつかり合いである戦いを描くのではなく、クウガ≦雄介という若者を描くことに終始したこの「仮面ライダークウガ」という番組は、最終回までそれを貫き通したわけである。グロンギとクウガの戦いがこの番組の主題ではない。その戦いに関わった人たちの生きる様を描くこと。そして、その中心にいた雄介という若者を通じて、回りの人たちが変わっていく様を描くこと。これが「仮面ライダークウガ」なのだ。雄介は、初めて登場したときから最終回まで全く変わっていない。成長しない主人公である、成長していくのは、周りの人々。みのりもおやっさんも奈々も榎田も椿もジャンも。そして桜子も。さらに、最も変わったのが一条なのだと言えるかもしれない。
しかしながら、雄介もあの最後の戦いの影響を受けていないわけではない。さすがの雄介もその笑顔を一旦は失ってしまったようだ。だから、人々が一条に雄介のことを尋ねると、一条の顔は曇ってしまう。彼はあの戦いの後の雄介に会っているのだ。桜子は、雄介が笑顔を取り戻して帰ってくることを信じている。その言葉を聞いて、やっと一条も笑顔を見せる…。雄介は笑顔を取り戻すのに3ヶ月を要したというわけである。
最終回というと、最後の戦いがあり、そして急な別れがあり。ちょっとした後日談があったりと。そういうパターンを予想してしまう。だが、このエピソードは30分丸々後日談である。しかも、途中CMも入らないという大英断。主人公である雄介の出番もほとんどない。セリフすらない。タイトルロールであるクウガも出ない。しかし、これでよいのだ。雄介を取り巻く人々を描くことが、この番組の主題なのだから。
もちろん、ヒーローとしてのカッコよさやカタルシスを求めていた分には大いに不満は残るのである。クウガ自体の造形は素晴らしく、やはりどう見てもカッコよい。それが迫り来る怪人たちと、死闘を繰り広げるシリーズ。そういう展開を見たくなかったといえばウソになる。特に、最強のグロンギであるダグバとの戦い。ゴオマを簡単に殺し、その“気”だけでクウガをグローイングフォームにさせてしまうという描写までもあった。それだけに、どんな戦いになるのかと…。あの殴り合いだけで終わってしまうというのは、ちょっと物足りない気もする。そういう意味では、もったいないとも思う。だが、敢えてそういう選択をせずに、このようなエピソードに仕立てたスタッフの英断には感服するばかりである。
皆が見やるあの青空の下、雄介はどこかでまた、人を笑顔にし続けている。そしてまた、いつか我々の前に元気な姿で現れてくれることだろう…。
アカネの同級生ユキが、実はミカヅキを初めとする様々な謎に関わっているということで。前回ミカヅキの動きを封印した彼女だが、それが実はザメが憑依されているということで。普段は普通の女子高生なのだが、トルパが動き出すとそれに呼応するようなカタチでザキが前面に出てきてしまうわけだ。ま、この辺の説明があまり親切でないのよね…。ちょちとわかりにくい。そもそもザキが何者なのかも良くわかんないし。ハイキング(?)の途中で憑依されたらしいユキなんだけど、それも今ひとつ説明不足かなぁ…。まぁ、わざと謎を残してはいるんでしょうがね。
さて、そのユキに対してストーカー行為を行なう学生が、今回のイドムを生み出してしまう。この学生、AITの金城の後輩、それも怪獣研究会の後輩である。この怪獣研究会の描写がなんとも…(^^ゞいわゆるひとつのオタク像そのものですな。実際にこの世の中に怪獣が出現したとしたら、そりゃあもうこういう輩は大喜び。全てのものを破壊せんと暴れまわる怪獣を荒神として祭り上げてしまうかもしれない。そりゃ、MAXもそうかもしれないしね。破壊のカタルシスは、確かに愉悦をもたらすものである。この気持ちが、理想の怪獣をヴァーチャル世界に産み出してしまうのだが、それが現実化するとしたら…?怪獣オタクの夢かもしれんねぇ。「ティガ&ダイナ&ガイア」みたいな…。
ユキに対する気持ちをストーカーという形でしか表現できない男。ユキからも世間からも拒絶されたと感じ、どす黒い怒りを身の内に膨らませた結果。それはトルパに利用されることとなるのだ。だから、イドムは自らが想像の世界で作り上げた怪獣そのものなのだ。オーソドックスな2足歩行怪獣は、もちろんあの偉大な怪獣王を模している。鋭く立った背びれ。小さな前肢。太く凄まじい破壊力を持つ尾。怪獣オタクなら誰もが思い描く正統派怪獣だ。
イドム出現に際し、新たなる月光機で出撃するアカネ。月光4号は、またも古きよきロボットスタイル。いわゆるロビー型である。映画「禁断の惑星」のロビー、「宇宙家族ロビンソン」のフライデーと同じスタイル。頭部は透明のドーム。手はU字型のマニュピレーター。なんだかうれしくなってしまうスタイル。あんなでかい透明ドームどうやって作るのか、とか、あれじゃ構造的に脆いだろうとか、そーゆー細かいことは言わんことね。中にはアカネ社長が乗ってるんだし。やはり、いいねぇ、女子高生社長は(*^_^*)。
ミカヅキ凱で出動する風雄。しかし、意外に苦戦。このイドム、その外見とは裏腹に身軽である。ジャンプはするは、体は伸びるは。まぁ、普通の生き物ではないので、こういう気持ち悪さがまたいいですわ。ミカヅキ凱と月光の共闘も苦戦なんですな…。そこに現れたのは!またしても謎の巨人。シンゲツ。いや、この登場の見栄がまたカッコいいわぁ。雨宮テイストバリバリ出てます。こーゆーのに弱いんですわ、MAXとしては。なんだか、背筋がゾクゾクしちゃうんですな、これ見せられると。やっぱ、SFは絵だからね。しかもこのシンゲツがお約束のごとく強い強い。あっという間にイドムを倒してしまうのよ。で、これまたお約束の敵かな?味方かな?っていうとこで以下次回。いやー、決してパターン化せずに毎回思いもかけない展開を見せてくれるのは、やはり全6回というミニシリーズならではなんだろうね。
次回も期待大。
滝沢直人、死す。その最後はあっけないものであった。敵と戦って雄雄しく死ぬのではなく、少女が逃がしたカナリアを捕まえようとしてるところを撃たれるというもの…。力を追いつづけて、一度はそれを力に入れたかに見えた彼。しかし、それは実ははかないものであり。その先には何も待っていないにということを知りながらも。それでも自分の生きかたを変えようとはしなかった彼。そんな彼の最後だからこそ、静かに散らせてあげたということだろうか。その亡骸を抱いて咆哮する竜也。Vコマンダーを引き継ぎ、Vレックスの新たなパイロットとなる。
3001年の未来に戻ったユウリたち。しかし、彼らの過去での行動によって、3001年の世界は修正されていたのだ。これはタイムパラドックスが生じているということになるんだけど…まぁSF映画では基本だね。過去をいじると未来が変るという。しかも、彼らにとっては都合の良い方向にばかり。リュウヤ隊長はこの歴史改変の過程も全てわかっているようで、彼の思うように未来が形作られているということ。これはもう神にも等しい力と言えるのではないか。
そんな修正された未来を見限り、再び2001年に戻ろうとするユウリたち。うむ、熱いねぇ。いよいよ、次回、ストーリー上の最終回。彼らはどうなるのだろうか…。
あれから何年が経ったのだろうか。未確認生物が人々を今日にに陥れたあの一連の事件時に開発が開始された強化スーツも第三世代、ジェネレーション3まで来て実用化されようとしていた。そんな時、またしても人類がいまだ知らない謎の生物達が動き出す…。
ということで、新番組「仮面ライダーアギト」である。クウガと同じ世界観を持ちながら、全く違うドラマを展開していくというこのシリーズは、ちょうど「ウルトラマンティガ」と「ダイナ」の繋がりと同じようなことだろうか…。となると、長野県警には一条がいるのだろうし、関東医大には椿がいる?いや、それよりも生死不明のバラのタトゥーの女も登場の可能性もあるやもしれぬ。いやいや、そういう意味ではまた期待感高まるね。もちろん、雄介も出てくるかもしれんし。
最初の事件はなかなか猟奇的と言うかホラーテイストというか、いい感じでスタート。木の中に死体が埋まってるなんて、いいじゃないですか。これが普通の人間による犯罪じゃないと。そう思う人が居るわけで。で、警視庁の若きエリート氷川誠が出てくる。彼はあまつさえG3システムを装着する人物でもあり。このG3システムっていうのが、完全にメタルヒーローそのものですな。「宇宙刑事ギャバン」から始まった東映のメタルヒーローシリーズ。これは時間帯を移して「BFカブト」まで続いたわけだが…。それが奇しくも同じ時間帯で復活したわけである。もちろん、G3はタイトルロールではないわけだけれど、この設定はなかなかウレシイもの。ボディユニットを身に付け、最後にマスクを被ってバイクにまたがる姿は、文字通り“仮面ライダー”と呼べるものだ。
しかし、そのG3がまた弱いのね…。アンノウン第一号であるパンテラス・ルテウスとの戦いにボロ負けである。グロンギとの戦いを想定して開発された装甲スーツなわけで、それはつまり今度のアンノウンはグロンギよりもはるかに強い敵だということになるんでしょうな、多分。
さて、アギトとグルスについては、まだまだこれからということでしょう。津上翔一と葦原涼についても思わせぶりな描写はあるにせよ、まだまだ出たばかりという感じ。本格的に活躍するのはこれからということになるのでしょう。
さてボロボロにやられてしまったG3の前に姿をあらわすアギト。なかなか強そうである。タメのキックもスゴイ威力。G3との力の差が歴然といったとこで。クウガに比べるとはるかに“ヒーロー”してますな、これは。
脚本は、井上敏樹氏。クウガでも何本か書いてるけど、やはりワタシとしては「シャンゼリオン」が忘れられない。もちろん、「ジェットマン」もあるし。「ミカヅキ」も好調。MAXが非常に好きなライターである。今回は若者3人が主役。3人の仮面ライダーということになるのだが、それぞれの事情で闘うことになるのかな?そういった闘う者たちの人間関係を書かせたら、井上敏樹氏はうまいからねぇ。監督は田崎竜太氏。パワーレンジャーを向こうで撮ってた人が、ワタシとしては「ギンガマン」の燃える演出が印象に残っている。かなりエンターテイメントのツボもしっかりと抑えてくれてるところがウレシイねぇ。燃える展開でバリバリとヒーローを描いてくれると面白いのだが。
あれだけ様々な反響を呼んだクウガの後番組で、スタッフにはプレッシャーもあるとは思う。だけど、ここはさらに前とは違う意味の面白さを追求していってもらいたいものである。第1話を見る限り、その期待には応えてくれそうで非常に楽しみなのだ。