TOKUSATSU TUREZURE-KUSA 99 NOV.

newNOV.6.1999
「ゴジラ2000ミレニアム」

 東宝のホームページで募集されていた東京国際映画祭でのお披露目上映会ご招待に応募したら、当選してしまった。当日は出演者・監督との記念撮影や上映後の懇親会などにも参加できて、なかなか楽しい1日であった。
 さて、ついにゴジラシリーズ再開である。3年間のブランク、そしてその間にはトライスターの「Godzilla」があった。東宝としても、それに対しての満を持してのゴジラ投入ということになろう。それだけにこちらも大きな期待を抱くし、それなりのクオリティを期待するわけだ。
 そんなワクワク感を抱いて観たわけであるが…どうも今ひとつというのが正直なところである。確かに過去のシリーズを一旦“無かったこと”にしてリスタートした潔さなんかは大いに認めたい気がするのではあるが…。
 まず、安易にUFOや宇宙人を出すのが気に入らない。もちろん、気にならないという意見もあるかもしれないが。ワタシが思うに、ゴジラが出現する世界観と、UFOや宇宙人が出現するという世界観はどうもそぐわないような気がする…。だって、放射能の影響で出現した怪獣がいるだけでも大変なことなのに、さらに宇宙人ですぜ…。それを2時間の映画に収めるのはちょっと難しいよ…。むしろオルガもまた、突然変異による怪獣として、単に出現させればいいのにと思う。アンギラスなんか、ほとんど説明無く出てきたからねぇ…。無理無理な理屈付けを宇宙人なんかでやるのなら、むしろ説明しないほうがいいと思うのよ。ミレニアンも肉体を捨てた割には、結局オルガになってるつうのもよくわからんしね。
 本編も、どうも人間達の描き込みが浅いような気がする。主人公の篠田は常にゴジラを追う男。富山プロデューサーに直接聞いた話では、彼は「ツイスター」の主人公をイメージしたということ。ゴジラから逃げるのではなく、逆に積極的に追う主人公を設定したわけだ。しかし、この篠田の行動はちょっとわかりにくい。ゴジラを人類のために役立てるべく追いかけるわけだが、あまりにも無謀では?自分の娘をあんな危険な場所に連れて行くかな?普通。それに、ゴジラの被害であれだけ多くの人が犠牲になってるんだもんなぁ…。山根博士もゴジラの被害を見て考えを変えたのである。それなのに、あの感覚はどうかと。むしろ、嫌われ役の片桐のほうが、ストレートでわかりやすいという気がするナァ。演技も良かったし。佐野史郎が活躍しなかったのが、ちょっと心残りである。
 特撮は、鈴木監督がなかなか意欲的な絵を見せてくれてはいる。しかし、そのクオリティは今ひとつである。合成の処理なんかが甘いんだよね…。テレビの戦隊シリーズと同じくらいかも…。映画なんだからなー、もう少し観客を唸らせるようなものを見せてもらいたい。それとゴジラの造形である。デザインは非常によいし、ワタシの好きなキンゴジにイメージが似ててよいナァと思ってたんだが。が、実際のスーツはちょっとかわいすぎる。頭が大きいんだろうね。目もくりっとしちゃってるし。ソフビのほうが迫力あると思うのは、ワタシだけだろうか。
 とまぁ、文句ばかり書いてしまったが、もちろん観ておくべき1本であることは確か。良くも悪くも、東宝怪獣映画の王道という気はする。今後は毎年、社外の監督・脚本家を使って、毎回違う設定でゴジラ競作をしたらどうだろう。面白いものが出てくると思うのだけれどね。

「ゴジラ2000ミレニアム」 99 東宝 監督:大河原孝夫 特撮監督:鈴木健二 脚本:柏原寛司/三村渉 出演:村田雄浩、阿部寛、西田尚美、佐野史郎 他


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